沖縄東京広島長崎だけではない日本各地を空襲した現実と戦略・戦術の手法、用いた航空機・焼夷弾等々
写真・図解で示された資料性が高い内容である。
米軍は事前偵察と効果測定偵察を行い細かく分析している。そこで撮った写真と内外の資料を
著者の平塚征緒さんが纏めたもので、こういう平易かつ体系的な資料は無かった。
ルーズベルトはソ連がフィンランドで、我が国が支那重慶で行った事を非難していた為、
米軍のルメイ少将は当初、軍港や工場地帯などに精密爆撃（今で言うピンポイント爆撃に近い）を行ったが
彼らにとって成果は不十分だった。それが石油メジャーのスタンダードが開発した焼夷弾の使用
（日本家屋の破壊に最適かつ非人道的な兵器であり米軍自身が使用を躊躇していた）に繋がり、
更には実験を兼ねた二種類の原爆使用にまでエスカレートする。
私見だが、元々彼らは西部開拓でネイティブアメリカンに散々焼き討ちを行い強引に併合し国土を拡大してきた歴史がある。
同根の英国もボーア戦争で焼き討ち虐殺を行った。それらの根底にあるのは逆襲を恐れ、彼らの合理性で言う
徹底的な破壊と反攻勢力の除去である。結果的に1930～40年代での各国の戦略爆撃とは概ねルメイの作戦に帰結し、
我が国の重慶爆撃だけが責められるものではない。
先日のＮＨＫによる「本土空襲 全記録」と「なぜ日本は焼き尽くされたのか」はこの点で明らかに
我が国の先人を愚弄し恣意的な誘導をする偏向番組であった。この本は、それを冷静に検証する意味でも有用な資料である。
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